お葬式コラム

2022.07.15

お墓はいらない│「墓なし」の注意点と供養方法4選

直葬

近年、お墓を「手放したい」「建てなくていい」と考える人が増えてきています。これまでは、火葬を終えたご遺骨はすでにあるお墓や、新たに建てたお墓に埋葬するのが一般的でした。しかし、現代を生きる人々のライフスタイルが多様化すると共に、お墓に対する考え方や価値観もさまざまに変化してきています。

最近では、実際にお墓を持たない選択をする方や、葬儀にお金をかけず、必要最低限の火葬だけを行う「直葬」を希望される方も増えています

そこで、この記事ではお墓を持たない選択や直葬が気になる方に向けて、以下の内容をお伝えします。

  • 「お墓はいらない」と考える人が増えた理由
  • 墓じまいの流れやかかる費用
  • お墓を持たないデメリット
  • お墓を持たない場合のご遺骨の行き先
  • お葬式なし、お墓なしのゼロ葬とは

お墓を「手放したい」「建てたくない」人が増えた3つの理由

これまでは、先祖が眠るお墓は代々親から子へ継承され、管理・維持が継続していくことが一般的でした。ところが、少子化や核家族化などが進む現代社会において、これまでのように子どもたちがお墓を受け継ぎ、管理・維持し続けることは難しい問題になっています。

「お墓はいらない」と考える人が増えた理由は次の3つです。

  • お墓の跡継ぎがいない
  • お墓参りや管理ができない
  • お墓の建立費や維持費が支払えない

ここからは、それぞれの理由について解説します。

①お墓の跡継ぎがいない

「お墓はいらない」と考える理由のひとつは、せっかくお墓を建てても継ぐ人がいないからです。

現代では少子化に加えて「結婚しない」「子どもを持たない」という選択をする人も増えており、お墓を守っていく人が途絶えてしまうケースも珍しくありません。

お墓を継ぐ人である「祭祀継承者(さいしけいしょうしゃ)」がいなくなったお墓は「無縁墓」と呼ばれ、その管理や撤去をめぐって社会的な問題となっています。そうした背景からも、後々のことを考えて「お墓はいらない」と考える人が増えているのです。

②お墓参りや管理ができない

お墓の管理が難しいことも、お墓離れが進む要因です。たとえお墓の跡継ぎ候補がいても、お墓から離れて暮らしている場合は物理的にお墓参りやお墓の掃除などの管理が難しくなります。

今は仕事の都合で地元を離れて暮らす人も多く、そうした人たちにとって離れた場所に残るお墓の管理は悩ましい問題です。そのため、お墓を建てることで子の世代に負担をかけてしまうと考える人も多くなりました。

③お墓の建立費や維持費が支払えない

お墓の建立費や維持費が負担になっている問題もあります。お墓を建てるためには、全国平均で200万円ほどの費用がかかります。一般的な葬儀を行った場合の費用と合わせると400万円前後はかかると考えられるでしょう。

こうした初期費用の捻出が難しい場合や、支払う価値を感じられない場合に、お墓はなくてもいいと考える人がいます。また、一度お墓を建てれば、お墓を持ち続けていく限り以下の維持費が発生します。

  • お墓を管理しているお寺や団体に支払う管理費
  • 古くなったお墓の修繕費・建替費

管理費は年間数千円から2万円程度です。お墓の修繕には数千円〜50万円程度、建て替えとなると200万円以上かかることも考えられます。こうした費用を支払っていくのが難しく、「お墓を建てても維持できない」と考える人もいます。

墓じまいをする人も増加傾向に

先祖代々のお墓を手放す「墓じまい」を選択する人もいます。墓じまいを希望する理由は、手間や費用面からお墓を継ぎ、管理・維持していくことが難しいからです。

ただし、墓じまいは持ち主の一存ではできません。多くの場合は、必要書類の取得や役所での手続き、専門業者の手配などの事前準備が必要です。また、親族の同意なく墓じまいをした場合は、後々トラブルになるかもしれません。事前に話し合いの場を設けて承諾を得ておくといいでしょう

墓じまいの流れ

墓じまいの簡単な流れは以下の通りです。

1.改葬先を決める
2.関係各所から必要書類を取得する
3.お墓からご遺骨を取り出す
4.専門の業者に墓石を解体・撤去してもらう
5.ご遺骨を改葬または散骨する

一般的な墓じまいにあたっては、現在お墓を管理している団体、お墓があるエリアを管轄する自治体、新たな受け入れ先などから必要書類を受け取る必要があります。墓じまいをした後のご遺骨は、しかるべき場所に改葬または散骨することになります。

墓じまいにかかる費用

一般的に、お墓の撤去にかかる費用は10万円〜30万円程度です。しかし、墓じまいには墓石の解体・撤去だけでなく、お寺に支払うお布施や離檀料なども必要となる場合があります。さらに、ご遺骨の次の行き先によっては100万円程度かかることもあり、一時的にまとまったお金が必要になるかもしれません。

墓じまいにかかる費用として、よくある項目と費用の目安は以下の通りです。

項目 費用の目安
書類の発行手数料 0円~1,500円
魂抜き(閉目供養)のお布施代 3万円~10万円
離檀料 5万円~20万円
墓石の解体撤去費用 10万円/1㎡あたり
改葬・散骨にかかる費用 3万円~100万円
魂入れ(開眼供養)のお布施代 3万円~10万円

お墓を持たない2つのデメリット

お墓を持たないことで、後継者の問題を解消できたり、管理にかかる手間や費用がなくなったりするメリットがあります。しかし、一方ではお墓を持たないことで生じる問題もあります。お墓を持たないデメリットは次の2点です。

①残された家族が遺骨の埋葬先で迷う

お墓を持たないということは、自分や家族の死後、ご遺骨の行き先を決める必要があるということです。ご遺骨の行き先は非常にデリケートな問題なので、本人や遺された家族にとっても心配事になりがちです。ご遺骨をどうするかについて、事前に家族や親族で話し合っておくといいでしょう。

②先祖代々のつながりが途切れる

お墓がなくなることで、先祖代々のつながりが途切れてしまったと感じる方もいます。また、お墓参りを通して故人に想いを馳せたり、普段はなかなか集まることのない親族との時間を過ごしたりと、お墓があるからこそ故人や生きている親族とのつながりを感じられる場面もあるでしょう。

「墓なし」の遺骨はどうなる?4つの選択肢

「お墓はいらない」と思う人が増えている一方で、問題となるのがご遺骨の行き先です。お墓そのものはいらないけれど、大切な故人を供養したい気持ちに変わりはなく、「ご遺骨の適切な行き先を見つけたい」と考えている方もいるでしょう。

では、実際にお墓を持たない選択をした人たちは、どのように故人を供養しているのでしょうか。4つの選択肢を紹介します。

①永代供養で寺院や霊園に管理してもらう

「永代供養」とは、寺院や霊園に一定の金額を納めて遺骨を預かってもらい、供養や管理をしてもらう埋葬方法です。近年では、宗旨や宗派を問わない寺院や霊園も増えており利用しやすくなっています。

永代供養には「個別墓」「集合墓」「合同墓」の3種類があり、供養のスタイルや費用の違いは以下の通りです。

埋葬方法 供養のスタイル 費用相場
個別墓 一般的なお墓のように、家系ごとに墓石をわけて埋葬する 50万円~100万円
集合墓 墓石を共有して、その下の個別のスペースに埋葬する 20万円~60万円
合同墓(合祀墓) 1つのスペースにほかの方のご遺骨と混ぜて埋葬する 5万円~30万円

ただし、個別墓や集合墓を選んだとしても、多くの場合は13回忌や33回忌などの区切りで合同墓に移されることになります。期間は寺院や霊園によって異なるので最初に確認しておきましょう。

上記の価格は永代供養のみにかかる費用相場ですが、お葬式のひびきでは、ご住職様のご供養と永代供養(共同墓地への埋葬)をセットにした直葬プランを253,000円(税込)~の低価格でご用意しております。詳細が気になる方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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②納骨堂で預かってもらう

ご遺骨を「納骨堂」で預かってもらう方法もあります。納骨堂とは、多くの納骨スペースを備えた施設です。一般的なお墓と異なる点は、屋内でご遺骨を管理する点、利用年数に応じて費用がかかる点です。大半はお寺が運営していますが、自治体が運営する公営納骨堂、宗教法人・財団法人・社団法人が運営する民営納骨堂もあります。

お寺が運営している納骨堂であっても、宗旨や宗教を問わないところも多く、檀家になったりお布施をしたりする必要がないケースも多くあります。

納骨堂に預かってもらう場合の費用は10万円〜100万円程度です。納骨堂の種類やスペースの大きさ、運営団体によって大きく費用が異なります。公営納骨堂は費用が安いため人気があり、応募条件があったり抽選になったりするのが一般的です。

③散骨・樹木葬で自然に還す

近年では、散骨や樹木葬などの自然葬も注目されています。散骨とは、火葬を行った後の遺骨を粉末状にして、海や山などに撒くことです。一方、樹木葬は墓石の代わりに樹木を植える方法です。

散骨の場合は3万円〜30万円程度、樹木葬の場合は10万円〜100万円程度が相場です。

また、管理も墓地に比べて簡単なので費用が安くすみ、ご遺骨の管理も必要ありません。ただし、日本では散骨ができる場所や樹木葬を行っている霊園が限られており、希望が通らないこともあります。無断で遺骨を山や海へ撒くことは法律で禁じられているので注意しましょう。

④手元供養(自宅供養)でずっと一緒に

ご遺骨をお手元で供養する方法もあります。ご遺骨をお墓に納めなければいけないという決まりはないため、自宅での供養を希望される方も少なくありません。

手元供養の方法は、以下のようにさまざまです。

  • 骨壺に納めて自宅保管する
  • アクセサリーとして身に付ける
  • 加工してダイヤモンドにする

近年では、自宅で供養しやすいミニサイズの骨壺も人気です。色や形も豊富で、一見骨壺とはわからないインテリアのようなおしゃれなデザインのものも登場しています。手元供養にかかる費用は、保管方法によって数万円~100万円以上とさまざまです。

なお、手元供養にはすべての骨を手元で管理する「全骨」と、一部の骨だけを管理する「分骨」があります。分骨の場合は、残った骨を埋葬や散骨などの別の方法で供養する必要があります。また、供養をされていた方も亡くなられた場合は、ご遺骨の行き先を再度考える必要がある点にも注意が必要です。

お葬式なし・ご遺骨なしのゼロ葬の特徴

近年、お葬式をしない、ご遺骨も引き取らない「ゼロ葬」と呼ばれる葬儀のスタイルが注目を集めています。ゼロ葬の特徴は以下の通りです。

  • 火葬のみ
  • 読経なし
  • ご遺骨は引き取らない

ゼロ葬は一般的な通夜や葬儀・告別式は行わず、火葬のみを執り行う方法です。読経もない場合が多いですが、希望する場合は5分程度の短い読経をいただけることもあります。火葬されたのち、ご遺骨は火葬場に引き取ってもらいます。

近年では、遺族や子孫に葬儀やお墓のことで心理的・金銭的な負担がかからない点に魅力を感じ、生前からゼロ葬を希望する方も増えてきました

ただし、各自治体の「火葬場条例」により、ゼロ葬は全国各地で必ず行えるわけではありません。ゼロ葬を希望する場合は、各自治体や葬儀場などに問い合わせてみるといいでしょう。

お葬式のひびきでは、葬儀をシンプルな内容にして、お墓も持たない代わりに別の形でご遺骨を供養するプランもご用意しています。

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大切なのは生前の話し合い

さまざまな価値観がある現代では、お墓についての考え方も多様化しており、お墓に変わる新しい供養の方法が注目を集めています。その背景には、お墓の後継者がいないことや管理・維持の難しさの問題があります。また、「子どもたちに負担をかけたくない」という親世代の気持ちの現れでもあるでしょう。

その一方でお墓を家族のつながりと考え、心の拠り所としている人がいるのも確かです。墓じまいをしたい場合やお墓を建立しない考えの場合は、家族や親族とよく話し合ってから決定しましょう

いずれにしても、お墓を持たない場合のメリットやデメリットについて、まずは正しい知識を得ることが大切です。火葬のみのシンプルなご葬儀やお墓を持たない選択肢が気になる方は、ぜひお葬式のひびきにお問い合わせください。ひとりひとりのお考えや状況に寄り添って、最適なプランをご提案いたします。