葬儀専門のホールが増えた昨今、寺院での葬儀は少なくなりました。
寺院葬には、お寺ならではの良さがあるのですが、利用方法や使い勝手がわからず躊躇してしまうことがあるかもしれません。
こちらの記事では、寺院葬の利用の仕方や費用などメリットとデメリットを交えて解説しています。
寺院での葬儀をお考えの方の参考になれば幸いです。
寺院葬とは
寺院葬とはお寺の本堂などで行うお葬式です。
一昔前は、一般的に行われていましたが最近では減少傾向です。
寺院葬は、お寺の本堂で執り行うケースのほかに、別にある葬儀専用の施設を利用するケースがあります。
通常、本堂での葬儀は檀家に限定されますが、葬儀専用の施設であれば誰でも利用できることが多いです。
葬儀全体のとりまとめについては、お寺が行うところと、葬儀社が担うところとに別れます。
寺院の利用条件は、檀家であるかどうかや、その他、普段のお付き合いの状況によって変わることがあります。
檀家以外の寺院葬について
菩提寺を持たない方や、遠方などの理由で菩提寺での葬儀が難しい場合などであっても、葬儀や法事だけを引き受ける寺院がありますので、寺院葬は可能です。
ただし、檀家以外の葬儀を受け入れるかどうかはお寺の判断によりますので、葬儀社や寺院紹介所などで、紹介してもらうのが良いでしょう。
紹介を希望するのであれば、宗派を確認の上ご相談ください。
その際ですが、寺院葬を執り行ったお寺の檀家になる必要はなく、葬儀や法事のみを依頼することができます。
もし、どこかのお寺に属していて、何らかの理由で別のお寺で寺院葬をお願いする場合は、後でトラブルにならないよう、事前に菩提寺に承諾を得ておくのがスムーズです。
寺院葬の流れ
寺院葬の流れは、セレモニーホールなどでの葬儀と基本的には変わりありません。
地域の風習によるところもありますので、こちらでは通常の流れをみていきます。
亡くなってから安置まで
寺院葬の場合、お寺が指定する葬儀社があればそちらに依頼するか、なければ遺族が直接探すことになります。
いずれにしても、お寺それぞれの考え方がありますので、それに従ってください。
まず、遺族から連絡を受けた葬儀社がご遺体を安置場所まで運びます。
亡くなった場所から直接寺院に移動して安置できる場合と、いったん自宅や葬儀施設に安置する場合とがありますので、お寺または葬儀社にご確認ください。
これらと並行して、葬儀の内容など詳細についてお寺、葬儀社と打ち合わせを行います。
通夜
通夜の当日、安置場所もしくはお寺で納棺式を行います。
通夜では、僧侶による読経、参列者の焼香がありその後、参列者に食事を振る舞う通夜振る舞いがあります。
寺院葬後の通夜振る舞いは通常、お寺以外の会場になりますので、詳しいことについては事前にお寺、葬儀社と相談して決めておきましょう。
通夜の後の夜間、遺族が故人と過ごすことができるかどうかは、物理的な場所の問題などがあるため、お寺の判断によります。
葬儀から火葬
葬儀では僧侶による読経と、参列者の焼香のあと、火葬に送り出します。
葬儀後は会葬者に食事を振る舞う精進落としや繰り上げ初七日が行われます。
火葬の手続きや予約などは、葬儀社に確認の上、それに従いましょう。
寺院葬を行うメリット
さまざまな葬儀会場がある中、寺院葬には寺院ならではのメリットがあります。
寺院葬の利点についてみていきます。
格式が高い
寺院葬はお寺本堂もしくはお寺の施設で執り行いますので、荘厳で格調高い雰囲気の中で故人を偲ぶことができます。
特に故人や遺族が仏教徒であるなら、その教えの元での儀式になりますので気持ちの上で納得のいくお葬式ができるでしょう。
費用が抑えられる
葬儀専門会館など寺院以外の場所での葬儀では、僧侶のお車代や遺族の移動費などが発生しますが、寺院で行う寺院葬ではこれがかかりません。
移動にかかる費用と時間が節約できることになります。
また、お寺にある祭具をそのまま使用できることもあり、全体的に費用が抑えられることがあります。
祭壇が利用できる
寺院葬で寺院の祭壇が使わせてもらえるなら、格式の高い葬儀ができます。
葬儀費用の中でも祭壇についてのものは高額ですので、それを別に用意することがなければ、費用の節約にもなるでしょう。
お寺の祭壇が利用できるかどうかは、お寺の判断によりますので事前に確認しましょう。
寺院葬のデメリット
メリットの多い寺院葬ですが、専門の葬儀施設とはちがうデメリットもあります。
事前に知っておくべき寺院葬の注意点についてみていきます。
使い勝手が良くない
一般的な専門葬儀会場と比べて寺院は使い勝手の点で劣るといえます。
バリアフリー対応ではなかったり、椅子席ではなく畳に座布団を敷いて座る形式であることも珍しくありません。
冷暖房や洗面施設についても、快適さを追求した現代建築とは異なり、過ごしにくいことがあります。
参列者に年配の方が多いようであれば、対応を考えておく必要があるでしょう。
また、葬儀のときには精進落としや繰り上げ初七日など儀式後に親族や会葬者と食事をする習わしがありますが、寺院葬では寺院内でそれに対応していないケースがあり、その場合は参加者が移動して別の場所で行うことになります。
参列方法が制限される
葬儀を行う寺院が利便性の良い場所にあれば良いのですが、お寺によってはそこに行くための交通手段が限られていることがあります。
また、駐車場が少ない寺院もありますので、車での参列が多いようであれば、それについてどうするのかを考えておきましょう。
利用する葬儀社が最寄りの駅までの送迎車を手配してくれることがありますので、足回りが不便であれば相談してください。
寺院のスケジュールが優先される
お寺では季節ごとにさまざまな行事が予定されています。
基本的にそちらが優先されますので、葬儀を希望しても、お寺の都合によっては叶わないことがあります。
その場合は、同じ宗派のほかのお寺を探すか、専門会館の利用などを検討することになるでしょう。
寺院葬の費用と相場
通常の葬儀にかかる費用は約100万円程度です。
寺院葬の場合、部分的に安価に抑えられるところがありますので、相場より安く収まることがあります。
寺院葬にかかる費用についてみていきます。
施設使用料
お寺本堂や、お寺所有の会館などの使用料がかかります。
こちらは施設使用料として個別に請求される場合と、お布施の中に含んで支払う場合とがあります。金額は10~20万円程度が相場です。
檀家以外が葬儀社などを通じて寺院葬を行う場合は、費用が決まっていてはっきり提示されますが、檀家の場合はそれよりも安い費用か、普段の付き合いによっては無料になることもあります。
葬儀専門会館などでの葬儀では、使用料に加えて祭壇費用がかかりますが、寺院葬であれば、寺院の祭壇をそのまま使わせてもらえることがあり、その場合の祭壇費用はかかりません。
持ち込みが必要な寺院の場合、祭壇費用と設置費用とがかかります。
お布施などお寺へのお礼
読経のお礼と戒名代をお布施としてお渡しします。
こちらは明確に決まっていないので難しいのですが、読経のお礼は15~30万円程度。
加えてお車代として5,000~10,000円、お膳料5,000~10,000円程度です。
戒名料については、いただく戒名によって費用が変わるため15~50万円と開きがあります。
不安であれば、葬儀社の担当者かお寺に相談するとよいでしょう。
参列者へのお礼
葬儀に参列いただいた方へのお礼にかかる費用があります。
返礼品・精進落としなど飲食にかかる費用など。
受付のためのテントや机・椅子、会場の椅子のレンタルなどが必要であれば、その費用も必要です。
会場となる寺院の立地によっては、ジャンボタクシーの利用など最寄り駅までの送迎のための費用も考えておきましょう。
その他費用
葬儀では、移送費・安置室の利用・枕飾り・お棺一式・法衣・ドライアイス・遺影写真・線香・ろうそく・骨壺・供物などの費用がかかります。
葬儀の規模によってはスタッフの人件費が必要なこともあります。
これらについては利用した葬儀社のプランに含まれていることもありますので、その範囲については葬儀社またはお寺にご確認ください。
お寺への支払いのマナー
寺院葬では支払いをどうすれば良いか迷うことがあります。
葬儀社を通している場合は、会場費などの支払いタイミングは葬儀社に確認ください。
こちらでは寺院にお渡しするお礼のマナーについて解説します。
お寺へのお礼の表書き
葬儀のお礼は銀の水引を使い、「御布施」と表書きします。
お車代とお膳料は、御布施とは別に白の封筒に包んでお渡しするのがスマートです。
戒名料は「戒名御礼」「位戒料」「戒名料」のいずれかの表書きをして、赤白の水引を使用します。
門徒であれば表書きを「法名御礼」とすることがありますのでご確認下さい。
支払のタイミング
御布施はお通夜の後、もしくは葬儀の前後にお車代、お膳料と共にお渡しします。
戒名料については、それを依頼したときにお渡しします。戒名の依頼はお通夜の後にするのが通常です。
支払いはそれぞれのタイミングで喪主が行います。
寺院葬も安心・真心で対応~お葬式のひびきにご相談ください
お葬式のひびきでは、ご遺族、故人のご意向に沿ったお葬式が可能です。
寺院葬につきましては、菩提寺のご葬儀はもちろん、それぞれの宗派に応じたお寺の紹介もいたしますので、ご希望の場合はご相談ください。
突発的なご依頼だけでなく、事前相談も伺っておりますのでご利用下さい。
まとめ
寺院で行う葬儀、寺院葬について利用の方法や費用など詳しく解説しました。
寺院葬では、厳かな雰囲気の中で故人を送ることができるのが大きな魅力です。
費用の点でも一般の専門葬儀施設よりも抑えられることがあります。
ただし、利便性や施設の快適性が劣るなど寺院ならではマイナス点もありますので、参列者の様子などを鑑みて選択するとよいでしょう。
なお、葬儀の詳細や対応についてはお寺それぞれの判断によります。
こちらで紹介したのは一般的な内容ですので、気になる点はお寺や葬儀社の担当者に確認しながら進めてください。