時代の流れや、昨今のコロナ感染症などの影響で葬儀の形が変化しています。
そこで、増えているのが「家族葬」という葬儀形態ですが、言葉はよく耳にしていても、実際にどんなものなのか、マナーなどはいかがかなど、迷われる方も多いようです。
こちらでは、家族葬について、どのような基準で誰を呼べば良いのか、家族葬をするときに気をつけたいことについて解説します。
家族葬とはなにか
家族葬で誰を呼ぶのかを考える前に、まず家族葬の定義についてみていきます。
家族葬自体に決まりはありません。一般的に「少人数のお葬式」を連想されることが多いようですが、必ずしもそうでもなく、親しかった方にお集まりいただく大きな家族葬などもあります。
呼ぶ人数の多少にかかわらず、家族や、個人の親しい友人・同僚など生前に濃いお付き合いのあった方を呼んで、個人を忍ぶというのが家族葬ではないでしょうか。
葬儀自体の進め方では、家族葬には、大きく次の3つの形があります。
- 一般葬と同様の葬儀(2日間)
- 一日葬
- 直葬
これらは地域や宗派によってちがいがありますが、一般的な流れについてみていきます。
一般葬と同様の葬儀
一般葬と同様に2日間に分けて葬儀を執り行います。
・ご逝去当日:ご臨終から、ご自宅などで故人を安置。
亡くなった当日、病院などから移動して、ご自宅などで故人を安置します。
・ご逝去翌日:納棺から初七日まで。
故人を葬儀場に移動し、通夜式から葬儀告別式を行います。
その後、出棺し火葬の後、繰り上げ初七日法要になります。
適宜、会食や精進落としと呼ばれる飲食の場が設けられます。
一日葬
一日葬は一般葬の一部を執り行います。
- ご逝去当日:ご臨終から、ご自宅などで故人を安置。
- 亡くなった当日:病院などから移動して、ご自宅または葬儀場で故人を安置します。
- ご逝去翌日:葬儀から火葬・お別れまで。
葬儀・告別式の後、火葬してお別れします。収骨後に解散となるのが一般的で、必要に応じて食事を取ったり、お弁当を渡して持ち帰るなどのケースがあります。
直葬
直葬は、儀式を執り行わずお別れのみ行います。
- ご逝去当日:ご臨終から、ご自宅などで故人を安置。
- 亡くなった当日:病院などから移動して、ご自宅などで故人を安置します。
- ご逝去翌日:納棺から火葬。
納棺し火葬場に移動し、お別れします。宗教的儀式を省略することもできますが、希望があれば、僧侶を呼ぶこともできます。収骨後、解散となります。
家族葬に呼ぶ範囲は各自で判断すれば良い
葬儀には、故人と関係のあった方に広く参列いただくのが旧来からの考えです。
昨今でも、一般的な葬儀であれば、三親等内の親族と友人や仕事の関係の方などに参列を案内しますが、家族葬では、特に呼ぶ範囲は決まっていません。どなたをお呼びするかは、葬儀を担う遺族の判断に委ねられます。
もし判断に迷われるようでしたら、「準備した葬儀会場の規模」と「故人が会いたいと思っているだろうか」という基準で決められてはいかがでしょうか。
また、個々人の考えはそれぞれですので、人によっては「案内してほしかった」「参列したかった」と思われる方がいるかもしれないので、呼ばないことが心苦しいと思われるかもしれません。
しかし、今の風潮や最近のコロナ感染症の影響などから、「葬儀に呼ばない」という判断も失礼にはあたりません。
ただし、「どうしても弔問したい」という申し出があれば、その意志を尊重して判断されるのが良いでしょう。
家族葬に呼ぶ規模ごとの一般的な範囲
- ① 呼ぶ人数:10名 故人の配偶者、子とその配偶者、親や孫
- ② 呼ぶ人数:20名 上記親族、故人の兄弟姉妹とその配偶者
- ③ 呼ぶ人数:30名 故人のいとこや甥、姪
実際には決める場面においては不安もあると思いますが、これを基準にして決めていただく事で段取りよく決めるきっかけとなります。
家族葬を通知するときの注意点
家族葬の通知についてですが、基本的に参列を望まないのであれば葬儀の通知は必要ないと考えてよいでしょう。
あえて通知する場合や、逝去を知って葬儀について問い合わせを受けたときの対応と注意点についてみていきます。
遺族の意志を明確に
家族葬は特に定義がないことから、「家族葬で執り行う」ということを通知しても、その捉え方は人によってちがいます。
遺族側が考えている家族葬の形と、通知を受け取った側のイメージが合致しなければ、行き違いが起きることがあり得るのです。
そんなことから、家族葬の案内をするときは、参列や供花・香典について遺族の意志を明確に知らせるのがスマートです。
案内を受けた側も、「家族葬とは書かれているけれど、弔問に伺った方がよいのか」など迷われていますので、弔問・香典辞退と明記することで安心してもらえます。
角が立たないよう故人の意志を尊重する
お葬式は故人と周囲の人たちの最後のお別れ儀式ですから、誰にとっても後悔のない形が望ましいでしょう。
とは言っても、葬儀には遺族や周囲の人など、たくさんの人が関係しますので、その思いをひとつにするのは簡単ではありません。
何かにつけて、判断に迷ったときは「故人の意志を尊重する」というスタンスが望ましいでしょう。周
囲の方たちに何かしら納得していただけないことがあったとしても、故人の意志であれば、それに賛同してもらえるのが通常です。
故人の意志を一番に、そして角が立たないスタンスで判断してはいかがでしょうか。
家族葬のマナー
親しい人だけで故人を偲ぶことを目的とした家族葬ですが、社会とのつながりがある以上、外部とのお付き合いが発生します。
心づもりがなくて慌ててしまうことがないよう、家族葬で想定できることについてみていきます。
香典・供花・弔電について
香典や供花など事前にお断りをお知らせしていても、いただくことがあります。
かたくなに受け取りを拒否せず、相手のお気持ちを尊重し受け取るのがマナーです。
香典・供花・弔電を受け取ったら、葬儀後できるだけ速やかに電話などでお礼を伝えます。
香典と供花については、後日、お返しと合わせてお礼状を送りましょう。
弔電については、基本的にお返しは必要ありませんが、香典・供花のお返しと同様、四十九日が済んだあとにお礼状を送ります。
最近では、メールなども通常の連絡ツールと見なされますが、これらのお礼については、はがきまたは手紙で送るのが一般的です。
弔問について
家族葬で、弔問辞退を明記していても、当日参列に来られることがあると想定しておくとよいでしょう。
小規模の家族葬であれば、外部の方をもてなす準備が整っていないことがありますが、先方も望んでいませんので、出来る範囲で対応すれば十分です。
また、葬儀後、自宅などに弔問を希望される方もいるでしょう。
それについては、お相手のお気持ちを汲んでできるだけ対応できるのが望ましいですが、無理することはありません。
「感染症のことを考えて」「まだ、落ち着かずバタバタしているので」など、こちらの事情を説明し、辞退しても失礼にはなりません。
家族葬後の対応
人が亡くなると、その後の対応や手続きは非常に煩雑で大変です。
できるだけ、大げさにしない方向で進めるとしても、社会との関係上、必ずやっておくべきことがあります。
家族葬の後の対応について解説します。
家族葬の事後報告
親族や知人など、葬儀の案内をしなかった人たちに、家族葬の事後報告をします。
家族葬の事後報告をいつまでにするか、厳密な決まりはありませんが、四十九日までに行うのが通常です。
できれば、葬儀の1~2週間後くらいを目安に考えればよいでしょう。
報告する相手の範囲は以下の方が一般的です。
- 故人が生前お世話になった方
- 故人の友人など親しい方
- 仕事などでご縁のある方
- 家族葬の案内をしなかった親族
故人の交友関係がわからない場合は、年賀状や携帯電話の住所録などが参考になります。
事後報告の方法は、電話または手紙が通常です。
葬儀後は、遺族もなかなか落ち着かないこともあるため、手紙などを選ばれることが多いようです。
最近では、メールも通信手段のひとつですが、家族葬の事後報告にはあまり利用されません。
必要であれば、事後報告のお手紙に弔問・香典の辞退を記載しておくと、齟齬がなく安心です。
香典返し等の対応
家族葬に香典や供花をいただいたら、四十九日明けにお礼状を添えてお返しを送ります。
お返しの目安は、地域や宗教によってもちがいますが、一般的に半額程度です。香典返しは、いただいた香典の多少に関わらず送るのが通常です。
少額をいただいたのであれば、半額にこだわらず1000円程度のお返しが妥当です。お返しの品物は、使ってなくなるものを選びます。お茶・お菓子・砂糖・海苔・洗剤・石けんなど。
香典を受け取ったときに、「香典返しが不要」であると言われたのであれば、お礼状のみを送ってもかまいません。
その場合は、機会を改めて、お歳暮などの形でお返しするとよいでしょう。
お葬式は家族葬のひびきにご相談ください
家族葬で誰を呼べばよいのか、そもそも家族葬の定義とはどんなものかについて解説しました。
家族葬は、故人とゆかりの深い人で行う葬儀形態をいい、定められた形はありません。
ですので、遺族が故人の意志を汲んで執り行えばそれが最良です。家族葬に呼ぶ範囲についても、遺族が無理のない範囲で判断してください。
ただし、故人の死は遺族だけでなく、故人の関係者すべてに影響があります。家族葬であっても、事後報告などは必要とお考え下さい。
遺族・故人、そして関係者すべてが納得できるお葬式となりますことをお祈りいたします。
お葬式のひびきでは、ご遺族の意向に合わせたご葬儀をご提案いたします。形式や費用などご相談下さい。ご遺族さまが後悔のないよう精一杯、努めさせていただきます。
群馬県での家族葬をお考えの際は、ぜひご相談ください。