葬儀費用は誰が負担すべきかとお悩みの方も多いでしょう。
葬儀には式の内容にもよりますが、それなりにまとまった金額がかかりますので、誰がどのように負担するかで、悶々と不安になってしまうかもしれません。
遺族間のトラブルを避けるために、葬儀費用負担の考え方や相続との関係を知っておくと安心です。
こちらの記事では、葬儀費用の負担をどう考えるのがよいのか、遺産相続と葬儀費用の関係などについて詳しく解説します。
葬儀前に遺産相続について必ず確認を
一般的に葬儀は故人の遺族によって執り行われ、その主宰者が費用を負担します。
遺族は故人の遺産相続人であることが通常で、後に述べますが、葬儀費用は遺産相続の際の税控除対象となるので、それを踏まえて支払者を誰にするかを考えるのも一つです。
従って、世知辛い話しですが、まずは葬儀前に遺産相続の内容と相続人について確認しておくことをおすすめします。
葬儀について故人の遺言がある場合はそれを優先する
遺産相続および葬儀について故人が遺言を作成しているならそれが優先されます。
遺言書によって定めがある場合は、それを無視して進めることはできませんので、必ず確認しましょう。
なお、遺言書は、場合によって信託会社や信託銀行で保管していることがありますので、心当たりがあるなら事前の確認が必要です。
遺言には葬儀について具体的な内容が含まれていることがあります。
故人が葬儀社と「生前契約」を結んでいて、葬儀内容や支払い方法が決められているならそれに従うことになります。
生前契約のケースであれば、相続財産から葬儀費用を支払うことが決められていることなどがありますので、その場合はそれに沿って進めることになります。
もし、これに従わずに故人が契約したのとは別の葬儀社で葬儀をすれば、契約不履行となりますのでご注意ください。
遺産相続がある場合の葬儀費用は誰が負担するのか?
故人から相続する財産があり、相続人がはっきりしているときの葬儀費用は、相続人である喪主が負担するまたは、相続人で分担して負担するなど考えられます。
それぞれについて詳しくみていきます。
喪主が葬儀費用を負担
一般的に葬儀費用は喪主が負担します。喪主とは、葬儀全体を取り仕切る遺族の代表者です。
喪主は通常、故人の配偶者や長男、長女などが務めますが、故人の遺言があればそれを元に決定されます。
遺言がなければ、遺産相続人の中から続柄の順位に従って決めるのが望ましいでしょう。
もし喪主になるべき立場の人が、本人の事情などでそれを引き受けることができないのであれば、別の血縁者や友人、知人などに任せることもあります。
喪主が葬儀費用の全額負担を難しいとするケースでは、喪主とは別に葬儀の世話役である「施主」をたて、そちらに葬儀費用を負担してもらうこともあります。
相続人で分担して負担する
故人の相続人が分担して葬儀費用を支払う方法があります。
相続人で公平に葬儀費用を分担するのもひとつですし、共同相続人である遺族が、相続財産の割合に準じて葬儀費用を負担するなどでもよいでしょう。
共同相続人は通常、親子、兄弟姉妹など近い間柄の相手ですので、トラブルにならないよう、話し合って決めると安心です。
相続財産から葬儀費を支払う場合
遺族が葬儀費用を支払うのが難しい場合、故人の財産から葬儀費用を支払うことができます。
通常、銀行口座は死亡が確認できた時点で凍結されますが、葬儀費用についてはそのことに関係なく一行につき150万円を上限に払い出しが可能ですので、それを葬儀費用にあてるという方法です。
これを適用する場合、留意することがあります。
相続されるべき遺産の使用は相続人全員に関わる事象であり、また葬儀費用については、遺産相続時の税控除対象となります。
従って、相続予定の財産から葬儀費用を支払うことについては、相続人全員に確認を取った上で、誰がいくら支払ったのかを明確にしておくことが大切です。
葬儀費用は遺産相続税の控除対象
故人から遺産相続した場合には、相続税が課せられますが、葬儀費用はその税控除対象となります。
葬儀費用は相続財産の債務ではありませんが、相続までの通常必要な費用として税金から控除することが認められているのです。
控除できる葬儀費用の内容については、明確な定めはなく、国税庁が一定のルールに従って判断しています。
こちらでは、通常控除対象となる葬儀費用の範囲と、それ以外についてご紹介します。
税控除となる葬儀費用の範囲とは?
相続財産の税控除対象となるのは、被相続人の葬儀にかかる通常の費用と、被相続人の債務です。
具体的には下記の費用です。
- 葬儀一般にかかる費用:葬儀費用一式、死亡診断書発行手数料、火葬料、埋葬料、納骨費用、埋葬許可証発行手数料
- ご遺体や遺骨の回送にかかる費用:寝台車、霊柩車などご遺体の回送についてかかった費用一式
- 葬式の前後に発生した費用で通常葬儀に必要とされる費用:お通夜式の費用、通夜・告別式での飲食代、葬儀社スタッフ等への心付け、葬儀場・火葬場までの交通費、その他通常の葬儀に伴う費用
- 葬儀に伴う宗教的費用:葬式に対してお寺などに支払ったお布施や読経料、僧侶へのお車代、お土産代、戒名料など
- ご遺体の捜索、ご遺体や遺骨の運搬にかかった費用:病院などから移動にかかった運搬費一式
注意したいのは、これらの名目であればすべてが控除対象と認められるのではないということです。
社会通念上必要と認められる範囲が対象となりますので、心配であればあらかじめ確認しておきましょう。
税控除されない葬儀費用とは?
葬儀にかかる費用であっても、次のものは相続税控除対象となりません。
- 香典返しの費用
- お墓の購入費用
- 法事にかかった費用
- 永代供養のための費用
- ご遺体の解剖費用
墓地や仏壇を相続した場合の控除範囲は?
墓地、仏壇、仏具などは高額なものであっても、相続財産には含まれません。
すなわち祭祀については、相続にあたらないので、相続税がそもそも発生しないということです。
よって、墓地・仏壇等の引き継ぎをした人が、その財産価値分を遺産相続から減らされることはありません。
葬儀費用の負担を相続人で分担するなどであれば、相続税控除対象である葬儀費用と、相続財産に該当しない仏壇や墓など祭祀にかかる費用と、それぞれの性格を理解した上で負担割合を決めるのが妥当と考えられます。
相続税控除範囲に収まる安心プランのお葬式
葬儀社では、相続税控除範囲でできる安心プランのお葬式をご提案しています。
必要最低限をカバーした火葬式プランであれば、費用を抑えてかつ、控除適用範囲内で対応できます。
火葬式プランには次の内容が含まれます。
- 20Kmまでの寝台車・霊柩車費用
- スタッフによる企画・運営
- 寝棺(白布張)
- 白7寸 骨壺
- スタッフによる火葬場案内
こちらは、税金の控除を受けながら、きちんとお見送りをしたい方のためのプランです。
香典の所有権は?葬儀費用にあてられるのか?
最近は辞退する形もみられますが、一般に葬儀では参列者が香典を包みます。
参列者の数によっては大きな金額になりますので、その取り扱いが気になるところです。
香典についての考え方と、扱いについてみていきます。
香典は葬儀費用にあてられる
香典とは、亡くなった方へのお供えであると共に、葬儀費用の足しにして下さいという参列者の気持ちが込められています。
従って、お供えいただいた香典を葬儀費用にあてても構いません。
香典をいただいた場合は、香典返しをお渡しします。
香典返しは、地域によって異なりますが通常は、いただいた金額の3分の1~半額程度とされます。
それを差し引いた金額を葬儀費用にあてることができると考えてよいでしょう。
香典は誰のもの?香典の所有権
香典は、一般に葬儀の主宰である喪主に対して贈られます。
参列者が葬儀費用の一部として贈る意味もあることから、葬儀費用を負担する人が受け取るものだと考えられます。
香典そのものは非課税扱いで、その中から葬儀費用を支払ってあまりが出た場合は、基本的に喪主が受け取ることになります。
ただし、これらの扱いを四角四面にしてしまうと、状況によってトラブルを招くことがあります。
葬儀費用の負担割合や、その他関係性などを考慮して慎重に取り扱うのが望ましいでしょう。
まとめ
葬儀費用を誰が負担するのかについて、解説しました。
一般に葬儀費用は葬儀を主宰する遺族が負担しますが、詳細は喪主が単独で負担するケースや、相続人で分担するケースなど事情に応じて様々です。
葬儀費用は、相続税の控除対象であることを鑑みて、負担を考慮するのもひとつの方法でしょう。
香典を葬儀費用にあてたり、税控除範囲内で葬儀を執り行うなど、事情に応じて柔軟かつトラブルのないよう進めると安心です。
困りごとや、わからないことは葬儀社への相談をおすすめします。
お葬式のひびきでは、家族葬や直葬など多様な形のお葬式に対応しています。
ご遺族、故人のご意向に沿ったお葬式になるよう全力で努めます。
葬儀に慣れている、という方は少ないと思いますが、葬儀は不測の事態がつきもので、先に知っておくべきことや、事前準備によって問題なく進むことがあります。
葬儀の前後は、慌ただしくなりますので、これらをご遺族だけで対応するのは大変です。お葬式のひびきは、ご遺族目線で葬儀全体についてサポートいたしますので、何なりとご相談下さい。