葬儀の案内を受けて参列するときに、まず準備することのひとつが香典です。
香典にはマナーがあり、市販の香典袋を購入しても書き方に迷う方も多いでしょう。
こちらでは、香典袋の書き方とそれに準じるマナー、そして香典金額の目安などについて解説しています。
宗教による書き方の違いについても触れていますので、ぜひ参考になさってください。
葬儀に持参する香典袋に書き方と内容
香典袋は縦書きで、正しい情報をわかりやすく書くことが大切です。
遺族は、香典袋の情報を元に葬儀後の香典返しの準備や御礼などを進めますので、できるだけ手を取らせることがないよう、必要な情報をもれなく丁寧に記しておきましょう。
香典袋には、「中袋」「外袋」があります。
それぞれに必要な記載方法についてみていきます。
外袋の書き方
外袋には、水引より上段に「表書き」を書いて、下段には「名前」を記します。
それぞれについて詳しくご紹介します。
外袋の表書きの書き方
表書きとは、それをお渡しする名目のことで宗派によって異なります。
宗派別の香典の表書きは次の通りです。
- 仏教:御仏前・御香典※浄土真宗以外の仏教であれば「御霊前」も可
- キリスト教(カトリック):御霊前・御花料・御ミサ料・献花料・御香典
- キリスト教(プロテスタント):御花料・献花料・弔慰料・御香典
- 神道:御神前・御玉串料・御榊料
宗教がわからない場合や、無宗教であれば「御香典」とするのが一般的です。
外袋名前の書き方
外袋の下段には名前を書きます。
状況別の名前の書き方は次の通りです。
- 個人(一人):名前のフルネームを記載し、必要であれば名前の右肩に小さく肩書きなどを添えます。
- 夫婦連名:夫のフルネームとその左側に妻のファーストネームを記載。
- 二人~三人の連名:一般に三名までの連名は、全員の名前を記載します。立場が最も高い人の名前を右側に書き、その左に順列に沿って名前を記載。上限関係がないのであれば、五十音順などで記載しましょう。
- 四名以上の連名:表書きでは、それぞれの個人名は記載せずに、「○○一同」「団体名・職場名 代表者名 他一同」などと書きます。合わせて、別紙に連名となる人の氏名と住所を記載して香典袋に入れてください。
- 代理で持参する:上司などの代理であれば、香典袋には上司の名前を記載し左下に「代」と小さく記入します。夫の代理であれば、夫の名前を書いて左下に小さく「内」と書きます。
会社や団体名義での香典は、右側に会社または団体名を記して、その左に代表者名を記載します。
中袋の書き方
中袋には、表に金額、裏に香典を渡す人の情報を書きます。
それぞれについてみていきます。
中袋の表の書き方
金額を書くときは、金額の前に「金」とつけて、大字(だいじ)を使って縦書きで記入します。
大字とは一般的な漢数字の代わりに用いられる文字で、「一→壱」「十→拾」などです。
- 三千円→金参仟圓
- 五千円→金伍仟圓
- 七千円→金七仟圓
- 一万円→金壱萬圓
- 三万円→金参萬圓
「円」は、「圓」「円」のいずれを利用しても構いません。
もし封筒の仕様で、横書きで金額を記載する形であれば、日常で使用しているアラビア数字(算用数字)で記載してください。
中袋の裏の書き方
中袋の裏面には、住所と氏名を縦書きで書きます。
封筒の中心線より左側に、住所、氏名の順に記載してください。
連名での香典であれば、二名まではこちらに記載することができます。
三名以上の連名であれば、別紙に全員の住所と氏名を書いて、中袋に入れます。
住所についてですが、省略せずに郵便番号や、マンション名なども書きましょう。
中袋のない香典袋の場合
種類によっては、中袋のない香典袋があります。この場合でも、記載する内容は同じです。
香典袋の表面の上段に「表書き」、下段に「名前」を書きます。
そして、袋の裏面に金額と住所を書くのですが、記入する位置や注意点は中袋があるケースと同様です。
葬儀に持参する香典の注意点とマナー
葬儀に持参する香典を準備するときに気をつけたいことがあります。
それぞれについて解説します。
筆記用具
香典の外袋は「薄墨」で記載します。「訃報により涙で墨が薄まった」などの思いが込めるもので、一般には弔事用の筆ペンが用いられます。
手元に薄墨が準備できないのであれば、通常のサインペンなどでも問題はありません。
ただし、必ず黒いペンで書くようにしましょう。
中袋については、読みやすさを優先して通常のサインペンなどで記載しても大丈夫です。
書き間違えてしまった場合は、修正ペンなどは使用せず新しい香典袋を使うのがマナーです。
香典袋
香典袋は仏具店はもちろん、ドラッグストアや百均、スーパー、コンビニで購入できます。
香典袋の仕様は主に2種類で、本物の水引があるタイプと、水引が袋に印刷されているタイプとがあります。
どちらを使うかのきまりはありませんが、金額に応じて香典袋を選ぶのが一般的です。
目安としては、香典金額が5000円までであれば、水引が印刷された袋を。それ以上であれば、水引がついた香典袋を選ぶのがおすすめです。
葬儀での香典金額の相場
葬儀でお渡しする香典で気になるのが、いくらくらい包むべきか、ということです。
香典の金額にきまりはありませんが、故人との関係性や立場によって目安となる金額は違ってきます。
それぞれの関係性別の相場は次の通りですので、参考になさってください。
身内・親族
まず、自分の身内や親族が亡くなった場合ですが、自分の親などが亡くなりその葬儀を負担するのであれば、香典は不要です。
それ以外のケースでは、以下を参考にしてください。
- 両親:3~10万円
- 祖父母:1~5万円
- 兄弟姉妹:3~5万円
- 両親の兄弟姉妹:1~3万円
血縁の近さはもちろん、普段のお付き合いの程度に準じて金額を決めるとよいでしょう。
知人・友人
友人や知人が亡くなった時の香典の相場は、5千円~1万円です。
友人・知人のご家族が亡くなった場合でも同程度が相場です。
仕事関係者・近所の方
仕事関係の方が亡くなった場合の香典相場は5千円~1万円です。
それぞれの立場での相場は次の通りです。
- 勤務先の上司・同僚・部下:3千円~1万円
- 勤務先の同僚のご家族:3千円~5千円
- 取引先の方:5千円~1万円
- 近所の方:3千円~5千円
こちらの金額は一般的な相場ですので、相手との関係性によって金額を決めてください。
もし、職場の慣習や決め事がある場合や、連名で行うのであれば職場の方や近所の方と相談の上、金額を決めることになるでしょう。
香典の金額に関する注意点
香典金額に決まりはありませんが、取り扱いについてのマナーがあります。
香典を準備するときに気をつけることについてみていきます。
香典に新札は使わない
お葬式の香典など弔事では新札を使わないのがマナーです。
その理由は、準備が必要な新札を使うことで、不幸を予期していたかのようなイメージを与えるためとされます。
そんなことから、香典には日常に使用しているお札を使いますが、欠損していたり、汚れのあるお札を使うのは失礼になります。
適当なお札がないのであれば、新札でも構いませんがその場合は折り目をつけるなどの配慮が望ましいでしょう。
香典金額は奇数にする
香典の金額は、3千円・5千円など奇数の金額で包むのがマナーです。
割り切れる数字である偶数は、縁起が悪いとされるためです。
ただし、忌み数字である「9」も香典では使いませんので、9千円・9万円などは香典では避けてください。
会社やグループなど連名で香典を出すケースでもこのマナーに準じますので、注意しましょう。
香典金額の考え方
香典の金額に決まりはありませんが、相場を大きく超えるもしくは下回る金額は、遺族への配慮から避けるのがマナーです。
遺族は、香典を受けた方に金額に準じた香典返しを行い、今後のお付き合いで立場が変われば、いただいたのと同等の香典額を包むことになります。
そんなことから、相場を大きく超えた香典のやりとりは負担になることがあります。
また、葬儀では会葬御礼の品が渡されたり、食事が振る舞われることもあります。
あまりに少額の香典では、遺族の持ち出しが大きくなりますのでその点にも気を使うと良いでしょう。
香典袋にお金を入れるときの注意点
香典袋には、中袋の表側にお札の裏が来るように入れます。
お札に描かれた人物が封筒の下に来るように入れるのが一般的ですが、こちらは地域によって扱いが異なることがありますので、ご確認ください。
複数のお札を入れるのであれば、必ずすべてのお札の向きを揃えてから封筒に入れるようにしましょう。
葬儀での香典の渡し方
葬儀で香典を渡すときにもマナーがあります。
香典の渡し方についてご紹介します。
香典袋は袱紗に包む
香典はそのままではなく、必ず袱紗に包んで持参します。
これは、香典袋の破損を防ぐ目的と故人への弔意を表す意味があり、コンビニや百均などでも手に入りますので準備してください。
袱紗は、慶事・弔事ともに利用しますが、用途によって使うべき色が異なりますので、必ず香典用の袱紗を使用しましょう。
台紙がついたタイプの袱紗であれば、使い方も簡便です。
一枚布の袱紗であれば、袱紗を菱形においてその上に香典袋を置き、袱紗を右→上→下→左の順に折って包み込みます。
お悔やみの言葉を添えて渡す
香典をお渡しするのは受付で記帳を終えた後です。
袱紗に包まれた香典を右手に持ち、左手で袱紗を開いて取り出し、受付の方の正面になるように香典袋を向けて、両手で渡します。
そのときにお悔やみの言葉を必ず添えるのがマナーです。
もし、お通夜と葬儀の両方に参列するのであれば、香典をお渡しするのは1度だけです。
この場合、お通夜でお渡しするのが通常ですが間に合わないのであれば、告別式でお渡ししても問題ありません。
葬儀に参列出来ないときの香典について
葬儀に参列するのが難しいときは、供花や弔電を送る、もしくは香典を郵送するなどで弔意を表すことができます。
香典を郵送するときは、現金書留を利用します。
持参するのと同様の香典袋に入れた香典と、添え状を準備して郵便局で現金書留の封筒を購入してそれを使用してください。
現金書留の封筒に、香典と添え状を入れて葬儀後1週間~1ヶ月を目安に送付します。
添え状には、香典を送る旨と必要であれば故人との関係を書き添えておくと遺族に気持ちが伝わります。
香典辞退の葬儀でのマナー
葬儀の案内などに香典辞退と記載されているのであれば、遺族の意向に従って香典を贈らないのがマナーです。
供花やお供えなどは受け取られることもありますので、必要に応じて遺族に確認すると安心です。
安心・真心の家族はお葬式のひびきにご相談ください
お葬式のひびきでは、ご遺族、故人のご意向に沿って柔軟に対応しています。葬儀はもちろん、参列者の対応やアフターフォローなど、それぞれのご事情に応じてお伺いできますので、安心してお任せください。
突発的なご依頼はもちろん、事前相談も伺っておりますのでご利用下さい。
まとめ
葬儀で渡す香典について、香典袋の書き方や取り扱い、香典金額の目安などについて解説しました。
不祝儀は突発的にやってきます。失礼のないようマナーのポイントを守って対応することが大切です。
葬儀の対応は地域などによっても異なりますので、心配であれば身近な方に確認して進めると安心です。
何よりも大切なのは、故人を偲ぶ気持ちですので、丁寧な対応を心がけて後悔無くお見送りしてください。