葬儀では、執り行う側の挨拶が必要な場面がいくつかあります。
葬儀の挨拶は普段とは異なり特有のマナーがありますので、それを理解しておくと安心です。
今回は、葬儀を執り行う側の挨拶について、挨拶が必要となる場面やそこでのマナー、具体的な挨拶内容をご紹介します。
近しい方を亡くして気持ちがまだ落ち着かないときに大変ではありますが、こちらを参考にポイントを抑えておくと良いでしょう。
葬儀で挨拶が必要なタイミング
葬儀で挨拶が必要なタイミングは複数回あります。
まずはお通夜。そして告別式と、精進落としの席で参列いただいた方に向けた挨拶をします。
通夜振る舞いの席を設けた場合はそこでも挨拶が必要です。
それぞれの場面によって、挨拶をする人や内容が違いますので、事前に確認して準備しておきましょう。
それ以外には、僧侶への挨拶、葬儀以降の法事の挨拶など葬儀を執り行う側は節目ごとに挨拶が必要になります。
葬儀での挨拶のポイント
葬儀の挨拶にはいくつか気にしておきたいポイントがあります。葬儀挨拶の注意点をご紹介します。
忌み言葉を使わない
葬儀の場面では、忌み言葉と呼ばれる使用を避ける言葉があります。
忌み言葉とは、不幸が重なることを連想させたり生死に関する言葉です。
「重ね重ね」「度々」「続いて」といった重ね言葉。「浮かばれない」など不吉な言葉。
また、直接的な「死ぬ」「生存中」なども使いません。
忌み言葉以外にも、故人の死因についての話しや、宗教上の禁忌言葉なども避けるべきでしょう。
長くなりすぎない
葬儀での挨拶は、場面にもよりますが基本的には3分以内に留めるのが望ましいとされます。
話すべきポイントをしぼって、1~3分程度でお話すると良いでしょう。
いずれにしても参列された方の負担にならないよう配慮して、しっかりお礼を伝えてください。
葬儀の挨拶はメモを見ても良い
多くの場合、葬儀は突然のことであり準備時間は限られています。
また、身内を亡くし普段通りの振る舞いが難しいこともあるでしょう。
そんな中ですから、心配であれば葬儀挨拶はメモを見ながらでも問題ありません。
無理せずに、必要であればメモを見ながら伝えたいことをお話してください。
葬儀の挨拶で伝えるべきこと
葬儀での挨拶は場面によって伝えるべき内容が異なります。
ただし、大まかな流れはいずれの場面でも変わりませんので基本事項を抑えておくと安心です。
葬儀挨拶では、まず故人との関係性を踏まえた自己紹介をします。
続いて参列くださった方へのお礼と、故人が生前受けた厚意についてお礼を伝えます。
加えて場面によっては、故人のエピソードなどを話し、今後とも遺族の力になっていただけるようお願いするのが、一連の流れです。
こちらの基本を踏まえて、場面や状況に合わせて話すと良いでしょう。
具体的な葬儀の挨拶について
葬儀で挨拶が必要な場面ごとに具体的な挨拶の内容と、誰が挨拶するのかについてみていきます。
通夜の挨拶
通夜では、お通夜の式が終わるときに喪主が挨拶をします。
参列者へのお礼のあと、告別式の案内がその内容です。具体的には次になります。
本日はお忙しいところ、亡き○○の通夜に参列いただきましてありがとうございます。
故人も喜んでいることと存じます。
尚、葬儀は明日○時より××にて行います。何卒よろしくお願いします。
本日は誠にありがとうございました。
通夜振る舞いがあるなら、こちらでの挨拶に加えて席の案内をします。
通夜振る舞いの席では、開式前に喪主が挨拶します。
そこでは、お礼を伝えた上で告別式の案内をするのが通常です。
通夜振る舞いの閉会時は、喪主または親族の代表者が参列者へのお礼を伝えることになります。
告別式の挨拶
告別式では、告別式の閉式後の出棺のときに喪主または親族の代表者が挨拶を行います。
出棺時の挨拶では、参列者全員に向けてお礼の挨拶とともに、故人の功績やエピソード、亡くなったときの様子などを交えたお話になります。
具体的には次のようです。
遺族を代表しまして、ご挨拶申し上げます。
私は故人の○○(妻・長男など故人との関係)の○○(挨拶する人の名前)でございます。
本日はご多忙の中、お悔やみいただきましてありがとうございます。
○○(夫・父など故人)は、かねてより療養中でございましたが、数日前に急変し逝去いたしました。
故人は定年退職後、趣味の釣りやカラオケを楽しみ豊かな晩年を過ごしておりました。このような時間を持てましたのは、ひとえに皆様のおかげでございます。
生前ご厚誼たまわりましたことを、故人に代って厚く御礼申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。
精進落としでの挨拶
精進落としでは、式の始まりと終わりに親族の代表者または喪主が挨拶します。
開式に集まっていただいたことへのお礼と、次の法要が決まっているならその案内も合わせて行います。
具体的な挨拶は次の通りです。
<精進落とし開式挨拶>
本日はお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
おかげさまで、無事葬儀を終えることができました。
ささやかではございますが、精進落としの席を用意させていただきましたので、お時間の許す限りおくつろぎくださいませ。
本日は誠にありがとうございます。
<精進落とし開式後>
本日は、亡き○○のためにお心遣いを頂戴しまして、誠にありがとうございました。
故人の思い出話はつきませんが、お忙しい方もいらっしゃいますので、長くお引き留めしては申し訳ございません。
これにてお開きとさせていただきます。
尚、○○法要は○月○日を予定しております。何卒よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
葬儀でのその他の挨拶について
葬儀では先の場面以外でも挨拶が必要となることがあります。状況によって対処してください。
火葬場での挨拶
火葬場では、棺が火葬炉に収められた後、納めの式という最後のお別れ儀式があります。
僧侶の読経を受けて、立ち会った人がお焼香をしてから、喪主が挨拶をします。
ここでは、故人のエピソードや最後の様子を交え、こちらに来ていただいた方にお礼を伝える挨拶になります。
僧侶への挨拶
葬儀では僧侶などお世話になった宗教者への挨拶が必要です。
挨拶のタイミングは枕経をおこなうときと、通夜・告別式のときの2回で、喪主がそれぞれの開式前に僧侶の控え室に伺って挨拶をし、御布施をお渡します。
挨拶は端的に「本日はありがとうございます。よろしくご指導をお願いします」と伝えれば良いでしょう。
四十九日法要での挨拶
四十九日法要では、形式に合わせて挨拶します。
タイミングは、
- 法要の始まり
- 法要後の会食への案内と中締め挨拶
- 会食での挨拶
- 法要後の会食がない場合の締めの挨拶
法要の形と状況、また風習があるならそれに添って挨拶してください。
葬儀スタッフへの挨拶
葬儀では葬儀社のスタッフが取り仕切って儀式が進行します。
必ずではありませんが、葬儀スタッフにも挨拶をしておくと良いでしょう。
葬儀スタッフへの挨拶では、手土産や心付けは不要で、「よろしくお願いします」と言えば十分です。
家族葬での挨拶について
家族葬においても近しい遺族だけで行う場合を除いて、基本的には葬儀主催者側の挨拶は必要です。
家族葬での挨拶のタイミングは一般葬儀と同様で、通夜、告別式(出棺前)、精進落としのときに喪主が行います。
挨拶の内容も一般葬儀と同様ですが、近しい人のみの家族葬ですので、故人を偲ぶエピソードなど家族の視点で盛り込んで話すのも良いでしょう。
弔辞について
弔辞とは、故人と親しかった人が御霊前でささげる弔いの言葉です。
必ず必要というわけではありませんが、親しい人にお願いしたり、風習があるならそれに従って読まれます。
弔辞をお願いするのであれば、相手の負担にならないよう余裕を持って依頼すると良いでしょう。
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お葬式のひびきでは、故人様、ご遺族の意向に沿って、真心のこもったお葬式をご提案いたします。お困りごとや心配事にも細かに柔軟に対応いたしますので、なんなりとお申し付けください。
心残りのないお見送りをお手伝いいたしますので、安心してお任せくだされば幸いです。
まとめ
葬儀での執り行う側の挨拶について、そのタイミングや伝えるべきポイントなど具体例を交えてご紹介しました。
葬儀での挨拶の場面は複数あり、故人を亡くし失意の中でのその負担は軽いものではありません。
そこでは気負いすぎずに、ポイントを抑えて丁寧にお礼を伝えるという姿勢でいることが大切です。
葬儀は故人との最後の儀式です。心残りのないよう、良いお葬式になりますことを心よりお祈りいたします。