葬儀は、遺族が手配して執り行うのが一般的でしたが、最近では本人が存命中に葬儀について決めておく生前予約という形が取られることも珍しくなくなりました。
こちらでは、葬儀の生前予約についてメリットやデメリット、全体の流れと準備の仕方について解説します。
葬儀の生前予約とは
葬儀の生前予約とは、存命中に本人または家族が葬儀を予約しておくことです。
もちろん、葬儀の日程は事前にはわかりませんので、予約するのは葬儀の規模や内容や費用についてなどです。
生前予約費用
生前予約をするときは、見積もりをもらい支払い方法を選択します。
葬儀の生前予約の費用の支払い方については次のようなものがあります。
- 実際に葬儀を終え得てから支払う
- 存命中に葬儀費用を支払う
- 存命中に積み立てで支払う
まず、基本的に生前予約の相談自体に費用はかかりません。
契約にあたり、予約金や申込金が設定されているなら最初にそれを支払い、残りの費用については選択した支払い方法に従います。
事前に支払いを済ませた場合、実際の葬儀後に追加費用が発生することがあり、これについては事後に精算する形です。
生前予約の方法と流れ
葬儀の生前予約について具体的な方法と、流れについてみていきます。
事前相談で葬儀社を決める
まず、葬儀を担ってもらう葬儀社を選定します。
遺族・参列者の利便性や、口コミ情報などを元にいくつか候補を挙げましょう。
そして、それぞれの葬儀社の事前相談でプランや費用、サービス、支払い方法などの確認をします。
葬儀内容は、祭壇や棺、お料理など幅広く決めることがあり、それぞれグレードによって種類が用意されていますので、希望や予算に合わせて検討ください。
その上で、希望する葬儀について、人数や内容などできるだけ具体的に説明して見積もりをもらいます。
なお、葬儀内容はあくまで予定であり、契約後も適宜変更できますので堅苦しく考えすぎなくても大丈夫です。
相談時にていねいに対応してくれるかどうかも葬儀社を決めるチェックポイントですので、総合的にみてどこにするかしっかり選んでください。
葬儀内容の決定と契約と支払い
任せる葬儀社と葬儀内容が決まれば、生前予約・契約をします。
このときに支払い方法についてもすり合わせをして対応します。
葬儀社によっては、特に葬儀内容については細かく決めずに、大まかな見積もりに準じて費用の積み立てだけ受け付けているところもあります。
該当者が亡くなったら
葬儀の生前予約をしていた該当の方が亡くなったら、予約先の葬儀社に連絡します。
ご遺体安置の準備と並行して、葬儀社と打ち合わせを行い、予約内容の確認や変更があればそれを伝えましょう。
それらを踏まえて、改めて見積もりが提示されますので、内容などに同意できれば、葬儀に進みます。
葬儀後、葬儀費用が決定しますのでその精算をします。
直葬の生前予約について
昨今では、一般的な葬儀ではなく直葬という形を望む方も増えています。
直葬についても生前予約が可能ですが、すべての葬儀社が直葬に対応しているわけではありませんので、その準備のある葬儀社を選ぶ必要があります。
小規模な葬儀社の中には、安価で直葬プランを提案しているところがありますが、そのような葬儀社を選ぶのであれば、倒産リスクを考慮して実績や評判をしっかり確認しておくことをおすすめします。
費用だけにとらわれず、地域での信頼度や、評判を元に葬儀社を選ぶと安心です。
また、葬儀社によっては生前予約できる年数が定められているところがありますので、こちらについても事前に確認してください。
葬儀生前予約のメリット~生前整理の意義
存命中に葬儀について考えたくないという意見がありますが、葬儀の生前予約は生前整理の意味も含まれ、生きている時間を大切にするために非常に意義のあることです。
生前予約のメリットについてみていきます。
自分で葬儀の内容が決められる
生前予約がなければ、葬儀は遺族が行いますので、故人の意見はあまり反映されません。
例えば、故人が小さなお葬式を望んでいても、知らなければ遺族がそれを選んでくれるとは限りません。
生前予約であれば、ある程度の内容を本人が決めておくことができます。
遺影や斎場を自分で決めることもできますので、遺族にとっても故人の思いを尊重した納得のいく葬儀ができます。
いざというときに慌てずにすむ
人が亡くなると、その後の手続きは慌ただしく煩雑です。
病院で亡くなった場合もすぐにご遺体の移動が必要ですので、葬儀社が決まっていないと慌てて探す必要があります。
時間がない中、また悲しみの中のことですので、じっくり検討ができず後々の心残りの元になることがあります。
その点、生前予約をしていれば大まかなことが決まっていますのでその分、余裕があり、安心してゆっくりとお別れすることができます。
遺族の負担が軽減できる
葬儀は遺族が主となって行いますが、あらゆる面で大きな負担がかかります。
まず、ひとつは手配の手間についてです。
葬儀の規模や内容について、例えば棺や祭壇のグレードなどからひとつひとつ選んでいきますが、生前予約で故人があらかじめそれを決めていれば、遺族の負担は大きく軽減されます。
また、遺族の経済的負担が減るのも生前予約のメリットです。
葬儀費用は全国平均で196万円とされます。
生前予約がなければ通常はそれが遺族の負担となりますが、事前に故人がある程度の支払いを済ませていれば、一部または大部分がまかなわれるので負担が取り除かれます。
葬儀についての不安が減少する
身寄りのない方や親族と縁の薄い方は、自分の葬儀について不安をお持ちかもしれません。
そのようなケースであれば、後見人制度など法的制度の利用と並行して、葬儀の生前予約を行い費用の算段までしておくとひとつの安心材料になります。
生前整理のきっかけになる
終活のひとつとして自分の葬儀を考えることで、それにまつわることを考えるきっかけになります。
相続や遺産整理など、人生の区切りに際してさまざまな解決すべきことがあります。
普段生活の中では「いつか考えなければ」と思っていても、先送りにしたままにしてしまいがちですが、葬儀の生前予約を考えることで生前整理のきっかけになります。
生前予約のデメリット
葬儀の生前予約には考えておくべきデメリットがあります。
生前予約において注意すべきことをみていきます。
遺族の意向とぶつかる可能性がある
葬儀の生前予約について遺族の意向や意思とぶつかることがあります。
生前に葬儀のことを準備することを好まず、反対されるケース。
本人が望む葬儀と遺族が考えるそれに食い違いがあるケースなど。
葬儀は内容によって費用が大きく異なり、また人間関係についてはそれぞれの価値観がありますので、場合によっては遺族との見解相違が生まれることがあります。
葬儀社の倒産リスク
生前予約で前払いをしていた葬儀社が倒産してしまうリスクがあります。
保証制度のしっかりした葬儀社であれば、費用の一部または全部が戻りますが、場合によっては返金されないこともない話しではありません。
生前予約で前払いするのであれば、万が一の保証について確認しておきましょう。
時間差による誤算
実際に葬儀を執り行うときに、生前予約していたプランが値上がりしていたり、予定していたグレードの会場に空きがないなど、思わずして追加料金が発生することがあります。
いずれの場合も事前予約ゆえの予測不可能な事態です。
このような場合に備えて、予約後もときどきプランを見直したり、予備費を用意するなどの手当をしておくと安心です。
生前予約をスムーズに進めるために
生前予約による葬儀は、準備することでトラブルなく執り行うことができます。
自分の葬儀を滞りなく進めるために事前にできることについてご紹介します。
家族に詳細を伝えておく
ご自身で葬儀の生前予約をされる場合は、契約の内容や費用の支払い状況について必ず家族に伝えておきましょう。
葬儀を執り行う遺族が、詳細を知らなければ故人の遺志は反映されず、場合によっては生前予約を知らずに別の葬儀社を利用してしまうことがあります。
費用についても、故人がいついくら支払ったのかを家族が知らずにトラブルになることがありますので、支払い状況のわかる書類と合わせて家族にそれを知らせておきましょう。
解約や予備費について考慮する
生前予約は明確な時期のわからない未来の予定です。
何らかの理由で途中解約が必要になる可能性を考慮しておきましょう。
解約の方法や費用がどうなるかなど、家族と情報を共有しておくとトラブルが避けられます。
また、生前予約をするときにはある程度のプランを持って見積もりを取り、費用を試算していますが、世間の動向やそのときの事情で予定通りにいかないこともあり得ます。
そのような事態にも柔軟に対応できるよう、予備費を準備することをおすすめします。
意志を家族に伝えておく
葬儀についての考え方は人それぞれです。
家族であっても個々人の考え方がありますので、できれば存命中に葬儀のあり方について家族に意思を伝えておくとよいでしょう。
本人の意志がはっきりわかっていれば、遺族もそれを反映しやすいもの。
生前予約という機会に、葬儀そのものについてや規模など、具体的に考えを伝えてみてはいかがでしょうか。
ご葬儀の生前予約はお葬式のひびきにご相談ください
お葬式のひびきでは、故人や遺族の希望に合わせたさまざまな形でのご葬儀の生前予約を承っております。
一般葬はもちろん、直葬についても対応いたします。
事前のご相談を承っておりますので、わからない点を含めてご相談くだされば、真心をこめてお伺いします。
安心と実績のお葬式のひびきは、悔いのないお別れをお手伝いいたします。
まとめ
葬儀の生前予約について、方法と流れ、メリット・デメリットについて解説しました。
人が亡くなると、その後あれこれと慌ただしく、悲しみの中で煩雑な作業に追われることになります。
また、費用も小さくないため遺族は多方で負担がかかります。
手間や費用負担が軽減できる生前予約であれば、後悔しないお別れができるでしょう。
生前予約はメリット・デメリットを理解した上で、信頼できる地域の葬儀社を選ぶと安心です。